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医療の現場から

「初めてペットを飼う」(前編)

最近、新たにペットを飼う方が増えています。ともに生活を送る伴侶として、また今現在飼育しているペットのお友達として、さらに、今度は違う種類のペットを飼いたいなど、その動機は様々です。ここでは、「初めてペットを飼う」をテーマに、その注意点などについてお伝えします。前編では主として犬、後編は主として猫について触れていますが、犬・猫に関係なく、全体的な知識としてお役立てください。

◆ペットの特性と飼い主の生活環境条件
初めてペットを飼うとき、ワンちゃん、猫ちゃん、または他の種類のペットにするかは、おおむね決めている方が多いようですが、同じワンちゃんでも品種によっては性格がかなり違います。この辺の実情を知らないで飼い始めてしまう人が、かなり多いのではないかと思います。

たとえば、ラブラドール・レットリーバーは盲導犬のイメージが強いですね。おとなしくて、いうことをよく聞いてくれるワンちゃんだと思っている人が多いです。実際には、とても元気のいい子が多いです。性格をよく理解しているパワフルな飼い主であれば、制御もできるので、躾さえしっかりできていれば、大変良い子となる可能性も高い犬種です。しかし、うっかり、お年寄りの方で、「体力はないんだけど、でも大型犬を飼いたい」といって、ラブラドールを飼うと、散歩中に引きずられたりして、怪我をすることになりかねません。このように、飼い主の家族構成なども考えた方が良い場合もあります。

ミニチュア・ダックスフントという犬種が最近人気ですが、ダックスフントというのはもともと猟犬なので、結構、元気がよくて吠える子が多いのです。それを知らないで飼ってしまうと、「こんなに吠えるとは思わなかった」ということになりかねません。たとえば、ペット可のマンションであっても、やはりあまり吠えられると近所迷惑になりかねません。そんな場合には、もっと吠えない犬種も選んだ方が良いかもしれません。こういったことも、よく知らずになんとなく選んでしまうと、のちのちに苦労することになりかねません。

ワンちゃんの場合、男の子と女の子では、男の子の方が元気なように思えますが、経験的にいえば、意外と女の子も活発である、という印象を持っています。もちろん、避妊とか去勢を早めにおこなっておいた場合の話ですが、逆に男の子を飼ったのに、おとなしいので、がっかりされる方もいますね。

ペット・人間・環境の相性というのも考慮すべきです。散歩に毎日連れていくことができるか、仕事が忙しいので週2~3回くらいしか行けないのか、また室内で飼うのか屋外で飼うのか、小さなお子さんがいるのかいないのか、といったような、飼い主の生活環境条件により、選ぶべき犬種が大きく変ってきます。初めて飼い主になる方は、外見で選んでしまったり、メディアでの印象からイメージしてそれに引きずられる、といったことが多いようです。たとえば、テレビの宣伝などにでてくるチワワはおとなしく見えますが、実際にはヤンチャな子が結構多いです。
◆人の行動が勘違いを招く
躾に関していえば、飼い主の気付かない些細なことで、行儀が悪くなることがあります。たとえば、飼い主の座っているソファーの上にワンちゃんをのせ、一緒にテレビをみているという行為。ソファーというのは、部屋の真ん中にある高台なので、本来「ボス」のいる位置なのです。そこの横に座らせてしまうと、同じ地位だと勘違いする可能性があります。できれば、ソファーの下や脇に敷物やペット用ベッドなどを用意して、そこに伏せさせることが大切です。そしてボスの席であるソファーには、ボスである飼い主しか座れないのだということをわからせるのです。

「肩抱っこ」もよくありません。犬の世界では、マウンティング行動(上位の犬が下位の犬の上にのり、自分の地位を誇示する行為)という習性があります。「肩抱っこ」の場合、飼い主は下にいるので、自分の方が偉いんだ、とワンちゃんに勘違いさせてしまうわけです。抱っこをする際には、自分の目線の下にくるよう、胸の前で抱くといいでしょう。

また、散歩に行く際でも、「自分が行きたい」といって、ワンワン吠えている時に連れていくと、「自分(ワンちゃん)の意思で、飼い主は散歩に行く」というように勘違いします。これでは、ワンちゃんが飼い主に「散歩に連れていけ」と命令しているようなものです。ワンちゃんが「散歩に行きたい!」と吠えても、わざと行かず、落ち着いたら連れていく、というようにしないといけないわけです。

犬の世界は序列社会。どんなワンちゃんであれ常々、上の地位にいきたがっています。日々、飼い主より下だということを教えてやらないと、助長していくばかりです。その意味では、躾は幼いときの方がいいですね。一度地位が逆転してしまうと、これをひっくり返すのは大変です。いずれにしても、このようなことは、飼う前の知識として覚えておいた方がいいでしょう。
◆衝動買いをする前に
ペットショップによる違いもありますが、おおむねペットショップでは、各ペットの種別の特徴をよく知っています。この犬の種類は、頭がいい、元気だ、おとなしいなどの助言をしてくれます。しかし、飼い主になる方から「この犬、とってもかわいいし、わたしの目を見つめていた」などと言われては、悪いことを伝えることもできず、さらに「あなたでは、この犬種は飼えません」というような本当のことまでは、言いづらくなってしまいます。

また、飼い主の側にたてば、自分の住まい状況や家族構成などを、ショップの店員の人に話したくはないものです。このため、ペットショップでは、ぴったり適合するようなペットを薦めることが、かなり難しいのでしょう。しかし本当であれば、飼い主になられる方は、ペットの面倒を見る人、飼う場所、散歩する地域など、自分の生活の条件を、事前に把握しておく必要性があります。

また、ペットの種別ごとの特徴などもつかんでおく必要があります。ペットの本で勉強することはとてもいいことです。ただ、一般的な本の内容をみますと、外国の文献を引用している例が多いので、ときとして日本の現実とずれていることもあります。たとえば、同じ犬種でも外国の犬と日本の犬とでは、その性格やでてくる病気が違っていることが意外と多くあります。ある犬種において、日本で繁殖し始めたワンちゃんがたまたまおとなしければ、その後は犬種が全体的におとなしくなる、という傾向があるからです。本の知識だけに頼っていると間違いをおかす可能性がありますので、気をつけていただきたいと思います。

理解の仕方によって、誤解も生まれます。たとえば、書き手が、「猟犬の中ではおとなしい犬」と書いても、読み手の側は、「おとなしい犬」と解釈してしまう場合があります。ヨークシャーテリアなどテリア系は元気な子が多いので、「このテリアはおとなしい」といわれても、やはり差し引いてみないとだめですね。シーズは一般的にはおとなしい子が多いので、ご老人の方々がよく飼っていらっしゃいます。「おとなしいテリア」と、「おとなしいシーズ」ということでは、「おとなしい」という同じ言葉が使われますが、実際はその種別の中での話なので、誤解が生じてしまいます。

ある統計資料をみてみると、飼う人の年代としては、一人住まいの方では、それほど年代の違いはないようです。DINKS世代、子供やご老人のいる家族、また中高年の方でもすでに子供が離れ時間ができた方、年をとってペットと一緒にゆっくり過ごした方など、いろいろな要望をもった様々な年代の方がいらっしゃいます。「元気のいいおじいさん」といっても、「おじいさんの中では元気がいい」ということです。「元気なおじいさん」と「おとなしいラブラドール」は一見マッチしそうですが、実際に対面してみないとわかりません。 (後篇につづく

あしあと動物病院 院長  久保 純
2007年4月、東京都豊島区に「あしあと動物病院」を開業。
最寄駅は都営荒川線「鬼子母神駅」
飼い主さんとペットのための医療を目指し、最新の情報と技術を取り入れながら、
気軽に相談できる環境作りに配慮しています。
あしあと動物病院ホームページ

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